この話は、読者の度肝を抜き、そして次の展開に期待させるという、衝撃的な場面から始まる。
Amishの女性、Katie、は自分の家の納屋で未熟児を産み落とす。そしてその子はまもなく死んでしまう。嬰児の死体はすぐに見つけられ、警察が駆けつけて死体を確認するが、その時に捜査官はKatieの尋常でない様子に気づく、血の気を失った顔、足の間を滴り落ちる血、状況からして産後間もない女性の状態である。警察はDNAの確認など科学的検査をしてKatieが死んだ嬰児の母親だということを突き止めるが、Katieはそれを否認する、妊娠していたことをもさえ認めない。読者はここで混乱する、一体今読んだことは何だったのだろう、確かに子供を産んだと書いてあったよな、しかしKatieはそれを強く否認している、これには何かわけがあるのだろうか、と。そしてこの疑問を早く解きたいと思ってどんどんと読み進むのである。小説の醍醐味である。
前半はAmishの人々の暮らしぶりが描かれている。あまり知ることの無いAmishの宗教や生活観の記述が興味深かった。
後半は、John Grishamばりの裁判の描写である。検察はKatieを嬰児殺人として訴追する。弁護士はこれに反論するのだが、その反論の根拠はここでは書かない、書くとこれから読む人の邪魔になる。
最後はどうなるか、これも言わないでおく。
読んでいて、何回も変わるKatieの供述に振り回された感じで終始重苦しい思いであったが、それでも読むのを止めることが出来なかったのは、巧みな筋書きに翻弄されたからだと思う。しかし、過去に読んだ「My Sister’s Keeper」「Change of Heart」「Handle with Care」が母親としての本能を率直に描いていてそれなりに納得できる話だったことに比べると、この小説は主人公のKatieが若過ぎたことと(18歳)、耳慣れない「社会から隔離された精神障害」という設定によって、なにか不自然な感じを受けたまま読み終えた感じもある。それはさておいても、作者は小説家としては一流の技巧を持つ人である、おもしろかった、ということは否定できない。