マッシブアタックに「ウェザーストーム」(名曲)を提供した男、クレイグ・アームストロング。
それを自分のソロアルバムでも別バージョンで仕上げてみせた(これも緊張感あるストリングスがすさまじい名曲)。
そして今回はアコースティックピアノを自分で弾いて、全編が素晴らしいピアノ音楽で満たされている
(もちろん「ウェザーストーム」ピアノバージョンも入っている)。
坂本龍一や、ジョージ・ウィンストンなど、現代の素晴らしいピアノサウンドメーカーはいるけれど、
クレイグの個性はまた違った豊かさを持っている。
音色、響きが、とても壮麗。ヨーロピアンな感じ。
壮麗なタッチなのに、全体が聴きやすく、マイケル・ナイマンほどエッジがきつくない。
でも明らかに現代的で、めちゃくちゃ美しい。スティーブ・ライヒのソロピアノとか、
キース・ジャレットなどの素晴らしいCDもあるが、クレイグのこれは、そのどれにも似ていない。
でも最高級レベルにピアノミュージックとして到達している。
聴き込むほどに鳥肌が立つような、静けさの中に、しびれていくような、美しさに満たされている。
このレビューで挙げたピアニストたちのCDを1枚でもいいと思ったことがある人は、
このピアノアルバムを聴いて、嬉しく思うのではないだろうか。
ちなみにシンプルなジャケットの中身は、5枚のカラーの見開き写真。
それを見ると、音響系の彼のセンスや音楽の方向性がよく分かる。