ショパンコンクールの入賞者は、たいていが協奏曲を録音している。理由としては、それがコンクール本選の課題曲だということも挙げられるが、それ以上に、この2曲が非常な難曲だからだということが挙げられるだろう。つまり、ピアニストにとってはある種の試金石になっているのだ。
そんなショパンの協奏曲には、当然名演と呼ばれるものも多い。たとえば、アルゲリッチ・ポリーニなど歴代のショパンコンクールの優勝者や、アックス・ルービンシュタインなど、往年の大家にも名演がある。
しかし、どれを聞いても感じられることだが、やはりオーケストラの部分が物足りない。それどころか、ピアニストが繊細な弾き方をしていても、オーケストラだけがドイツ軍よろしく行進するような伴奏をつけているようなものもある。
ところが、このCDにはそんな物足りなさや不自然さがまったく感じられない。オーケストラは“伴奏”ではなく“旋律”を奏で、ピアノとオーケストラの音が互いを主張しつつも完全に融合している。もちろん、弾き振りにありがちなタイミングの大きなずれもない。類稀な名演ということができるだろう。
もちろん、人によってはこの演奏を甘ったるく感じて、他の演奏家のほうがいいという人もいるかもしれない。しかし、ピアノだけが目立っているのでは、それこそ協奏曲ではなく、“競奏曲”になってしまう。
真の“協奏曲”を追及した演奏、一聴してみる価値はあると思う。