日本ではあまり想像できないが飛行機による移動中の事故で亡くなるケースがアメリカでは多いという。オーティス・レディングやレイナード・スキナードなど確率から考えると信じられない数のアーティストも惨禍に見舞われており、彼ジム・クロウチもそんな不幸に見舞われた一人だった。とりわけBad,Bad Leroy BrownのNo.1ヒットをはじめヒット曲を連発し始めた矢先の事故は成功との対比という点で最も悲劇的だったのではないだろうか。どうしてもその事を考えて聴いてしまわずにはいられないが、お茶目なストーリーテリングが楽しいtrack.1やtrack.10がそれを忘れさせてくれる。穏やかに淡々と歌われるtrack.2,3,9,11,12は聴くものの心を癒し、盟友モーリー・ミューライゼンとのアコースティックギター2本の絡みによる美しい響きに心洗われるようで今や彼のようなミュージシャンがいない事を考えると、悲劇の前にこれだけの楽曲が残された幸運を喜ぶべきなのかもしれない。
彼の死を悼むようにチャートを駆け上り1位に到達したTime In A Bottleには、偶然とは言え「過ぎ去る時を封印する願い」が祈るように歌われている。それはまるでこの作品集をはじめてとして彼の多くの歌声も同様に「ボトル」に封印される事を予感しているかのようでもあり、聴く度に琴線に触れる名曲だ。いろいろ編集盤が出ているようだが、「去りし男の伝説」の邦題でもリリースされていたこのコンピレーションがオススメです。