1960〜70年代、アメリカのオケの鎬を削る競争ぶりは大変なもので、バーンスタイン/ニューヨーク・フィル、オーマンデイ/フィラデルフィア管弦楽団に、シカゴとボストンの有力交響楽団、そしてセル/クリーヴランド管弦楽団の5大オケ競演の時代で、それに若きメータ率いるロスアンジェルス交響楽団などが急追するという構図にあった。
そのなかで象徴的な出来事があった。1962年ニューヨークのリンカーン・センターのこけら落としでボストン(ラインスドルフ)、フィラデルフィア(オーマンディ)、ニューヨーク(バーンスタイン)そしてクリーヴランドの各オケが競演した際、ニューヨークのうるさがたの批評家達はクリーヴランドを最も高く評価したのである。当時、セルは65歳になっていた。セルの面目躍如であった。
セルはザルツブルク音楽祭にもよく招聘されたが、ほぼ同時期の欧州における録音が本集である。いずれもセルが最も得意とする演目が選ばれており、かつコンセルトヘボウとは相性の良さには定評がある。クリーヴランドとの演奏が気に入った向きには、第二チョイスとしての聴き比べも楽しいだろう。
<収録情報>
【CD1】ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』(1966年11月28〜30日S)※1
ベートーヴェン:劇音楽『エグモント』作品84全曲(1969年12月11〜15日S)※2
【CD2】メンデルスゾーン:劇音楽『真夏の夜の夢』作品61〜第1・2・3・5曲(1957年12月2〜4日S)※1
チャイコフスキー:交響曲第4番(1962年9月11・13日S)※3
【CD3】シューベルト:劇音楽『キプロスの女王ロザムンデ』D.797〜第1・2・4・5曲(1957年12月2〜4日S)※1
シベリウス:交響曲第2番(1964年11月S)※1
【CD4】ヘンデル:『水上の音楽』組曲ーハーティ、セル編ー、同:歌劇『忠実な羊飼い』〜メヌエットービーチャム編ー、同:『王宮の花火の音楽』組曲(ハーティ編)、同:歌劇『セルセ』より“ラルゴ”〈オンブラ・マイ・フ〉(1961年8月S)※3
【CD5】モーツァルト:交響曲第34番ハ長調K338(1966年11月28〜30日S)※1
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90(1951年9月3日M)※1
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品58(1951年9月3日M)※1
※1:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
※2:ピラール・ローレンガー(S)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
※3:ロンドン交響楽団
Sはステレオ録音、Mはモノラル録音