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昔は好きだった(「Is That You?」のころ)ビル・フリゼールも、最近はなにか音楽が単調に聞こえて、買うたびにがっかりしていた。
ペトラ・ヘイデンは聴いたことはないが、私のフェイヴァリット・ミュージシャン、チャーリー・ヘイデンの娘だから聴いてみようと思った次第。でも、何年か前にチャーリーのパートナーのルース・キャメロンのジャズボーカル・アルバムを買って、がっかりしたことがあるので、あんまり期待していなかった。
ところが、これがけっこういける。
フリゼールも「Is That You?」とか「Before We were born」のころに戻ったような色気と粘りのある演奏をしているし、ペトラのボーカルがまたいい。
マリア・マルダー風と評したレビューがあったが、私はリッキー・リー・ジョーンズを思い出した。とくに「Moon River」「When You Wish upon a Star」を聴くと、その感を深くする。やや単調だけれども、それも持ち味といえる。
カントリーでも、ロックでも、ジャズでもない、まったりした独特の世界。昼下がりにゆったりと身を浸すと、心地よい眠気が襲ってくる。
それにしても、ライナーに載ってるペトラの顔写真は親父にそっくりだ。DNA畏るべし! 顔ほど音楽には共通点はないようだけど、今のところは。
2人ともプロモーションもろくにしていないようなので、
Bill Frisellの方もPetraと組もうとした動機やきっかけが
何だったのかわからないが、彼は彼でただ歌の伴奏をしよう
としているだけではないはずで、そこがわかれば面白いと
思った。
2人の曲も1曲ずつ入っているが、亡くなったElliot Smithや
Dave Grohlといったいわゆるオルタナティヴのミュージシャンの
作品を取り上げた1&2、トゥバ共和国の伝統音楽の3、かと
思えばスタンダード作品の4,8,11など幅広いセレクトに及んでいる。
楽曲の構成として何層もの音の重なりがあって、どのパートも
ふんわりと全体に溶け込んでいるような感触がある。そこに楽器の
技術的な上手さだけでなく、2人の存在感というか、そんなものが
感じられる。
FrisellもPetraもそれぞれギター、ヴァイオリンだけで一枚作れる
実力の持ち主で、特にPetraは自分のヴォーカルだけを用いたアカペラ
アルバムを作っている。ひたすら一人で音を重ねていく作業は、
機材が便利になっているとはいえ大変なことで、そういった部分に
音楽的な機知に飛んだアイデアよりも、2人の経験の豊かさが反映されて
いる作品だなと感じる。
私は、兎に角、ビルのギターが鳴っていれば満足なので評価が甘くなっているとは思うが、この作品はそれだけではない何かがある。
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