この人は正気なんだか、狂気なんだかよくわからない部分を強く感じます。とにかくリズムの多彩さ、激しさは明らかに前作と一線を画し、今日のWorld Musicアプローチにつながりを見せます。1の偏執的なリズムのアプローチなんか、Taliking Headsの10年は先を行ってます。前作はいい意味でPopでしたが、決して売れ線を狙ったわけではなく、聴き易い表現方法を選んだ傑作でした。もともとサービス精神の旺盛な人で、それはやっぱり、人から注目されたい、というよりも、無視されたくないという強迫観念的なものが根底にあるのではないでしょうか。前作に比べ、本作はかなりDeepに掘り下げています。3のI Have The Touchでは、I Need Contactと告白。「触れてほしい。顎を引っぱり、髪をすき、鼻をかき、膝を抱えて欲しい。でも、やっぱり何も楽しそうじゃない…。」と。このアルバムの音楽は映画「Birdy」でも使われましたが、あれもまさに自閉症を扱った映画でした。
このあと、何を吹っ切れたのかえらくさっぱりした顔で「So」で登場、ずっと洗練されて、世界の音楽に目を配る大音楽家になりました。Genesisの後半から、ここまで長い思索の時間があったからこその大成のように思います。