香川県庁舎にせよコルビュジェの母の家にせよ三仏寺投入堂にせよ、いずれも歴史に残る名建築そのものだが、
その中で異彩を放つ、藤森照信の選んだプレ・ロマネスク建築には心動かされる。
プレ・ロマネスク建築は世界に10点も満たない。
スペイン、ピレネー山脈の麓、オヴィエイド近郊には7〜9世紀中頃に建てられたプレ・ロマネスク様式の建築が点在する。
イスラム教徒に追われて山奥に逃げ込んだキリスト教徒の農民が、ありあわせの材料で仕事の合間に作ったその建築は、
もちろん技術的に稚拙ではあるけれども、それでも苦しい農作業の合間に祈りの空間を求めた農民たちの姿を後世に伝えている。
その敬虔さこそが、建築のはじまりなのかもしれない。