とてもいい特集だと思います。
監修者に木村宗慎さんをむかえ、「千利休の功罪」という題で、一味違った角度から千利休像を浮かび上がらせています。
私は単純に利休のことを「もったいない思想」の元祖みたいな感じに思ってたんですが、よく考えたらこんなバブリーな商売してた人は他にいないですし、朝顔の逸話などを聞くとこれほど「もったいない」話はないわけで、知れば知るほど利休という人の印象は、掌にためた水のごとくするりと落ちてしまいます。
伝統の継承者としての利休、伝統の破壊者としての利休、伝統の創造者としての利休、商売人としての利休、禅僧としての利休。このような一見あい矛盾する要素をすべて飲み込むほど利休の存在は巨大ということでしょうか。それを矛盾と捕らえているうちは利休のことは理解できないのかもしれません。
表紙は、長谷川等伯の描いた有名な肖像ではなく、江戸時代の写しだそうで、オリジナルに比べて生気のない情けない顔をしています。ひょっとするとわれわれが知っている利休像は、この写しのように骨抜きにされたものなのかもしれません。本特集を読んでそんなことを感じました。