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まず、主人公の感情が直接記載されていることはほとんどなく、スローモーションのような外界の描写がさらさらと淡白に描かれている。その文章の中に、激しい情念や絶望、儚い希望にしがみつく人々が息づいている。
戦後日本の国民的精神の揺れ、移り行く価値観に戸惑う人々、何とか人間らしく生きていこうとする人々を、遠い国から祖国に想いをはせ、美しく描き出だすことに成功している。
文章、話の展開、登場人物のキャラクターにイシグロ・ワールドの全ての原型が詰まっています。おそらくその頃あなたは既にイシグロファンになっているでしょうから、重苦しい部分がほとんどであるこの作品もワクワクしながら読めるはずです。細部の描写も見事。「きっとイシグロさんは取材の為に長崎に行ったんだろうなあ」とバカみたいに思ってしまいました。
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