舞台はアーカンソー。時代は1952年。海の向こうでは朝鮮戦争が起こっている。
10歳の少年ルークは綿花畑を営む両親と祖父母とともに暮らしている。今年も「hill people」という白人の季節労働者一家とメキシコからの出稼ぎ労働者を雇って収穫の季節を迎えた。雇った家族の長男ハンクは乱暴者で、その妹にちょっかいを出すメキシコ人のカウボーイを快く思っていない。ある日二人の対立がのっぴきならないところまで達するのをルークは目撃してしまう…。
リーガル・サスペンス小説の世界でベストセラーを連発してきたジョン・グリシャムの原作をCBSテレビがドラマ化した作品です。成人したハンクが少年時代を回想するナレーションが全編に渡ってつけられていますが、その声をアーカンソー出身のグリシャム自身が独特の南部訛りで演じています。ただしグリシャム自身は1955年の生まれなので、ルーク少年が彼をモデルにしているとはいえないでしょう。
暴力によってしか自分を表現できない邪悪な存在のハンク。その妹で、ルークにとっては美しい年上の小悪魔的な女性として立ち現れるタリー。今は戦争の前線に身を置く若い叔父と農家の娘との秘め事。こうした大人たちが抱える闇や秘密を垣間見ながら、少年が少しずつ成長していくという物語を狙ったようです。
しかし脚本は残念ながら消化不良の気味が残ります。タリーとカウボーイの顛末は尻切れトンボといった具合ですし、天候不良によって綿花栽培が立ち行かなくなっていく物語の終幕も描き方が淡白です。描きようによっては深く心打つ成長譚とすることができたであろうに、残念です。
なお、1960年代のアメリカ南部を舞台にした少年の成長物語としてお薦めの小説があります。
Robert R. McCammon著「Boy's Life」(ISBN: 0671743058)。詳しくは同書のレビューを参照されたし。