いわゆるAOR(大人向けロック)を作り続ける良質の女性シンガー/ソングライターとして古内東子の名前はたえず耳にしてきました。
でも、「誰よりも好きなのに」のヒットで確立された、自己愛の強い恋愛ジャンキーというイメージ。それを強める甘ったるい声質。さらに、今回のアルバムは、エイベックス発売のせいで、露骨なテコ入れで、“古内さんは音楽はよくても、もう手あかのついたアーティストなんだから、ジャケットでは顔ははっきり写さず、最新のおしゃれなメイクさえしていればいいんですよ”と言わんばかりのジャケット写真。それらのゆえに毛嫌いしてなかなかこの古内東子のアルバムを手に取る気持ちが起こりませんでした。
しかし、ここのレヴューほか、いたるところで高評価。
意を決して重い腰を上げて聴いてみると、すごくメロウでオーガニックなAORというか、ブルーアイド・ソウルというか、音楽的に非の打ちどころのない良質のアレンジですね。
でも、これだけ評価の高いアルバムなのに、嫌な予感がしたので、調べてみてわかったことですが、3月29日付のオリコン・チャートの累計枚数でたった6,930枚しか売れていないのですか。最高位が初動の36位。同じ系統では、中島美嘉のほうが若いぶん、大衆的人気はあるんでしょうし、彼女のほうも音楽の内容に比して売れていない、と思います。でも、派手ではなくてもクリエイティヴな活動を続ける日本の中堅ミュージシャンが絶滅しないためにも、このアルバムももう少し売れてほしい、と思います。