東日本の大震災以後、様々な書籍や雑誌が出されてきた。しかし、その中に「労働」という一見目立たぬ、それでいて日常の基底にあり重要なファクターに着眼点を置いたものはそう多くなかったと思う。
その点で本雑誌に掲載されている論文は、原発という建造物を支えてきた労働者の困難、東電の労使構造といった問題に視座を置きつつ、より広い意味での「原発問題」や震災復興問題を扱っているところが新しい。
ただ、実際に被災地でどう雇用を回復するか、現地での労働問題にどう対処するかという問題に関しては、やや抽象的であまり議論されていない印象を受ける。
これが出されたのが震災から間もない時期だったこともあるし、それは本書の内容を超える要求かも知れないので仕方ないところはあるが。