冒頭はなかなか感心させられます。
完全な意識体となるためには、60億の人間の意識を統合しなければならない、という
試行ならではの表現で、この作品中で一番好きで、驚いた部分です。
ただ、その理屈を裏付けする哲学があまり説明されていないような気がするのが
ちょっとつらいところ。この辺りを掘り下げていけば、原作を出し抜く一つの手が
紡ぎ出せたかも知れないだけに、残念です。
二次創作であるが故に、原作に忠実であるべきというテーマと、原作を出し抜こう、と
いう企みというか本命のテーマがせめぎ合い、身悶えしているのがなんとなく
感じられます。
本巻ではエプシロンの最後の巻、となるわけですが、ゲシヒトを失ってしまった
状態ではどうしても弱くなってしまう。そこで、替わりのガーディアンロボットが
登場し、活躍します。なかなか彼がかっこいい。それでは不十分と踏んだのか、
ワシリーという少年まで駆り出して、ドラマを盛りたてようとしているのが
よく解りますし、その技法も巧みであると思います。
だけど、やはり原作に気負い負けしている。そんな印象を受けました。
そして、ラストである次巻に向けて、地球規模のクライシスを仕掛けるという
大技に出ました。果たして……?