■付属基板の「クローン」作成について
付属基板に搭載のPICマイコン(dsPIC30F2012)にあらかじめ書込済みのプログラム
(ブートローダー)もCQ出版のサポート・ページよりダウンロード可能です.
非営利目的で使用される限り、付属基板のクローンを作成してご利用いただいても問題ありま
せん. 本書の中でも付属基板クローンの作成方法について簡単に解説しています.
ただし、クローン作成のためにはプロセッサへのブートローダーの書込が必要であるため、
dsPICの書込に対応したライタ(プログラマ)が必要です. なお、本書の第12章の内容は付属
基板を用いたdsPICライタ(プログラマ)の製作です.
■dsPICに関する良くある質問とその答
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Q1.dsPICはDSP(Digital Signal Processor)なのか?
A1.dsPICはDSPであり、DSPではありません
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Q2.A1は答になっていないのではないか? 詳しく説明して欲しい
A2.DSPの古典的定義に従えばdsPICはDSPです.
しかし、製造販売元のMicrochip社はdsPICがDSC(Digital Signal Controller)であると
していて、DSPだとは言っていません. したがってdsPICはDSPではありません.
DSPの最も単純な古典的定義は「1クロックでの積和演算を連続的に実行できるプロセッサ」
です. この定義にしたがえばdsPICはDSPです.
1クロックで積和演算をおこなうためには専用の積和演算器(乗算器+加算器)が必要です.
大昔はプロセッサの集積度(チップサイズ)と演算速度に大きな制約があったために、
高速で積和演算を実行するにはDSPは他の機能は犠牲にしてチップ上の面積が大きな専用の
積和演算器を搭載するしかありませんでした.
しかし現在はLSIの集積度が向上し、シリコン(チップサイズ)が有り余っているために
「DSPとは呼ばれていない」普通のプロセッサにも乗算器や積和演算器が搭載されています.
また積和演算器を搭載していなくても、動作クロック周波数が高ければ普通のプロセッサの
演算能力がDSPを上回る場合もあります.(クロック周波数30MHzのDSPと、クロック周波数
600MHzで20クロックかかって積和演算をおこなう積和演算器を内蔵しないプロセッサの演算
能力は同じです)
したがってDSPの古典的定義はもはや意味を持ちません. 現在のDSPの定義を考えると以下
のようになるでしょう.
定義その1:メーカーがDSPとして販売しているプロセッサがDSPである
定義その2:デジタル信号処理(離散時間信号処理)のアプリケーションに用いる
プロセッサがDSPである.
DSPでなければデジタル信号処理(離散時間信号処理)が出来ないというのも、もはや昔話
です. 処理能力だけを比較するならば、DSPよりもFPGAの方がはるかに高い性能を有して
います. シングルコアのDSPには積和演算器が1個しか入っていませんが、FPGAにはハード
マクロとして多数の乗算器(積和演算器)を内蔵しているものがあります.
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Q3.DSC(Digital Signal Controller)とは何のことなのか?
A3.DSPのことを良く知らずにDSPとは非常に特殊で使いにくいプロセッサであると思いこんで
いる人が多いので、Microchip社がマーケティング的観点からDSPの代わりに用いている
プロセッサの名称です.
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Q4.具体的にdsPICとはどんな特徴を持つプロセッサなのか説明して欲しい.
A4.付属基板に搭載しているdsPIC30シリーズについて簡単に説明するならば下記のようになり
ます.
dsPIC30シリーズ=(PIC24シリーズ+積和演算器)の電源電圧5V化版
PIC24は電源電圧3.3Vの16bit PICマイコンです. PIC24に積和演算器を追加したDSPと
してdsPIC33シリーズがありますが、dsPIC33も電源電圧は3.3Vです.
電源電圧5Vの16bit PICマイコンはdsPIC30シリーズ以外には無いために、電源電圧5Vの
アプリケーションでは積和演算器が必要無い場合でもdsPIC30シリーズを使用することになり
ます. 本書においても付属基板搭載のdsPIC30F2012をDSPではなく、単なる汎用の16bit
組込プロセッサとして扱っています.
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Q5.8bit PICマイコン(PIC12, PIC14, PIC16, PIC18シリーズ)と16bit PICマイコンとは何が
違うのか? 8bit PICマイコンのプログラムをdsPICに簡単に移植できるのか?
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A5.同じPICという名前が付いていても8bit PICと16bit PICはまったく別の製品です.
32bit PIC(PIC32シリーズ)もまた別の設計の製品です. これらの製品群には互換性は
ありません. アセンブラ・レベルでのプログラムの移植も不可能です.
8bit PICマイコンはやや特殊なアーキテクチャと命令セットを有しているために、
アセンブラ・レベルでマイクロプロセッサの基礎を学ぶ教育用途には向いていません.
一方、16bit PICマイコンは現代の組込プロセッサとして標準的な設計と言って良いで
しょう. 本書ではアセンブラは用いていませんが、dsPICはアセンブラ・プログラミング
の教材としても最適です.
付属基板でdsPIC30シリーズの扱いを学べば、電源電圧3.3VのPIC24シリーズも問題なく
使えるようになるはずです.
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