一聴すると、日本語じゃないようにも聴こえる曲もあるが歌詞を見るとほとんどの曲はちゃんと日本語で歌っている。詞の内容も組み立て方もまた独特で、抽象的なものからストレートなメッセージにひねくれたラブソングまでが並ぶ。英語詞に興味がないのでその辺には少し不満もあるが、それを抜きにしても、これはかなり完成度の高いタイムレスメロディなソングアルバムだ。
ファンクにメロが跳ねまわるものから、フォーキーにアルペジオを奏るかと思えばジャジーで、ちょっと聴いたことのないような歌メロがあって、日本人離れした拍の取り方をしたりする。なのに耳に届くのは紛れもないポップソングと美メロ。そしてメランコリー。個性的なやわらかいボーカルと歌唱法、とろけるような高音もクセになる。サウンドはタイト。
「あなたにだけは」「違う」「風もバラも雪もぼくも」の切実さには胸がえぐられるようだ。個人的には、音楽性は違えど七尾旅人が『オモヒデ オーヴァ ドライヴ 』でひっそりと現れたときと、同種の衝撃が走った。にわかにはちょっと信じられないような、素晴らしい才能が生み出だした、はじまりのアルバム。