マルウェアの基本概念から分類や動きが説明されているマルウェアの平凡な解説書。
感染させないための一般的な予防法まで示されている。しかし、本書で説明されているのはマルウェアの判別方法までであって、実践的な削除方法が示されていない。
削除方法に関しては「手動で駆除できるのかという質問」に対する答として、139ページで次のように説明している。
“筆者は「手動で駆除できる人もいるが、一般にアンチウイルス製品を利用したほうが安価に対策ができる」と答えるようにしています。”
89ページでは、 “感染ファイルから感染部位のウイルスコードをていねいに取り除いて元のファイルに戻さなければなりません。”と記述後、最終的には次のように説明している。
“アンチウイルス製品のシグネチャが対応していれば、感染部位の削除をしてくれるはずです。”
結論は当たり前すぎることであるが、アンチウイルス製品を使えということである。削除する方法が示されていないため、ましてや「根こそぎ削除する方法」は誇張したタイトル以外の何物でもない。1つ星にしようかと思ったが、予防方法はあり、良識的な見解で書かれている。常識的に考えて、本書のタイトルのように本気で根こそぎ削除できるなどと信じる者はいないだろうということで2つ星とした。
判別方法は143〜160ページで、Process ExplorerやAutorunsなどを使用して、見つけやすいマルウェアで説明している。GMERも簡単には触れられている。また、msconfig・TCPView・Wiresharkの説明もあるが、これらのツールで対処できるようなら、そもそも苦労しないはずである。Process ExplorerやAutorunsの説明が多いが、簡単に見つけるのは困難であろう。そこで著者は、147ページで”思考のジャンプ”という言葉をあげる。”思考のジャンプ”とは経験と能力により、マルウェアを判別するということである。
ところで、Autoruns は、マイクロソフトのSysinternalsのソフトウェアである。Sysinternalsの関係者たちによる著書「Windows Sysinternals Administrator’s Reference」(Microsoft Press刊)の169ページでマルウェアの判別は必ずしも期待できないと次のように述べている。”Autoruns cannot always be expected to identify malicious autostart entries on a system.”
追記
本書は、根こそぎ削除する方法よりも判別方法までが主要な命題と思える造りだ。Process ExplorerやAutorunsでの判別なら、本家の「Windows Sysinternals Administrator’s Reference」(Microsoft Press刊)が詳しい。18章がMalwareの章となっており、4つの具体的なマルウェアの事例が示されている。