ソロ作としては、82年の「遠い渚」以来の二枚目というのだから、何かが起こっているのではないかという期待は相当なものだった。何しろ、1stというと、最もシンプルで切実な歌で、当時のネオアコの中でも異色かつ名盤だったから。まずは、この25年ぶりのアルバムが、シンプルに無駄なものを削ぎ落としたようなサウンドになるのか、それともEBTGの近年のアルバムに沿って打ち込み主体であるのか、そこが大変、気になっていた。
その結果、音はクラブシーンに受け入れられそうな打ち込み主体のものだった。最初に近いなと思ったのは、ハーバートとのパートナー/ダニ・シシリアーノの感じで、かなりハーバートサウンドを意識したのかなという出来。またここのところリバイバルのニューウェイブ的エレクトリックサウンドも随所で聴く事ができる。つまり、この25年ぶりの新作は、とても現代的なアルバムに仕上がっているということだ。もちろん、トレイシーのボーカルも本当にうまくなったと感じるし、速い曲も自在にこなしている。しかし、正直、無難という感じで驚きはなかった。僕は何を求めていたんだろう。今更アコギ一本で朗々と歌うはずなんかないのに、そんなシンプルで力強い歌を求めていたのだろうか。