現在のUKシーンにおいて最も異彩を放ち、絶対に真似のできない独自の世界を築いているバンドといえば、間違いなくこのMUSEだろう。デビューの時点で既に特異な存在感を濃厚に放っていた彼らは、01年リリースの今作にて完全に別の地平へと遷移した。
一言で言うなら「過剰」。爪弾かれる妖艶なピアノの旋律へ、地鳴りの如く襲い掛かるへヴィ・メタリックなギターが轟く"New Born"からして、何だかもう分けの分からないド派手さ。ギター・ベース・ドラムというシンプルな3ピースから成り立っているなどとは到底信じがたいようなドラマティックな音の洪水。何とも言えぬ憂いを背後に従えながら、叙情の奔流を横溢させていくその様は、さながらロシア古典派の協奏曲のようである。そしてこうした過剰なメロディや、時としてほとんどへヴィ・メタル然とした激しいインストゥルメンタル群の狂騒を、全くクドさを感じさせずに纏めあげてしまうマシュー・ベラミーの声の素晴らしいこと。
叙情、耽美、ブルース、へヴィ・メタリック、クラシック、そうした全てを飲み込んで奏であげられる途轍もないロック・オペラ。異常に濃い中身の詰まった、名盤である。