1995年作、2008年リマスタリング。
前作「Pomme Fritz」で目立ってきた"コラージュ感"が本作では前面に押し出され、ダブが基礎となっているものの、メロディーもリズムも一定せず常に変化していくような作風で、曲の構造自体がコラージュとなっているように感じられます。ハッキリとしたメロディーがあるのはDisc1-Tr.3くらいです。
前作までのOrbの作風は、いろんな音が甘く溶けていくような酩酊感・多幸感(乱暴に言えばサイケデリック)・ユーモアが目立ちましたが、本作では覚醒感が際立っています。個人的には、ブライアン・イーノがアンビエント=癒しを否定したとも解釈できる作品「ON LAND」との共通点が感じられました。
シリアスともいえる方向に走った要因について、95年当時の状況を振り返ると、おそらくWarp RecordsのA.I.シリーズからの影響や、(NINによって息を吹き返した)インダストリアル方面からの影響もあったのではないかと思われ、前年に出た Aphex Twinの「I Care Because You Do」との共通点も伺えます。
Disc2は、アレックスと当時のOrbのメンバーによる未発表Remix集(Tr.5を除く)。Disc1の原曲の面影はほとんどない(というか原曲が抽象的すぎてRemix=曲の解体に・笑)ものの、シリアスな空気は共通しています。
95年当時の評価は賛否が分かれていたように記憶していますが、現在の状況から考えると、エレクトロニカの原点の一つともいえる作品ではないかと思います。
95年盤は持っていないため比較できず、リマスターの効果のほどは不明ですが、音量は2000年代の作品群と比べても遜色ありません。
おすすめです。