Oracle 11gの運用・管理を幅広く網羅したガイド。Oracleのタイトルの名のもとに、初歩的なSQL言語の練習でページを割いた書籍が氾濫する中、運用・管理に目標をしぼり、SQL言語の初歩でページを割いてないのは好感が持てる。
しかし、Linuxに終始しているのが残念である。インストール一つを取っても、29ページにはプラットホームとしてWindowsやSolaris10があげられているが、その後のインストール手順はLinuxのみである。Oracleの自社プラットフォームとなるSolarisも、29ページの対象プラットフォームで名称が記述されているだけで、その後の運用や管理でも説明されていない。Solarisを本文中で扱わないなら、巻末に違いや注意書きだけでもほしいものである。また、WindowsもOSとしては普及しているため、Linuxとの違いを体系的に取り扱ってほしい。
タイトルに”Linux編”といった言葉が必要だったのではないか?と感じてしまう。「はじめに」にも著者がLinux中心の説明と記述するのが、良識的だと思うのだが。
取り扱う範囲は広いが、パラメータの羅列といったかゆい所に手の届かない内容が多い。69〜71ページには3種類のパラメータのリストが3ページにも渡ってある。運用管理のガイドであるなら、パラメータの種類に応じて具体的な設定事例がほしいところであるが、71ページに「ポート番号の変更」の事例が1つあるだけである。129〜130ページの初期化パラメータの事例も同様で、設定事例もない。
ログも同様で、74ページには11種類のログファイル、75ページには7種類のログファイルがリスト内にある。これらのログファイルの中味やログの読み方の事例があるわけではなく、単にファイル名の羅列に終わっている。何種類かだけでも具体的なログの読み方をあげるのが運用管理のガイドとして常識ではないだろうか?
Oracle 11gのガイドであるが、11gの意義が見えてこない。Oracle 10g以前との差分情報がまとめられていないためである。本書の初めの部分で体系立てた前バージョンとの説明や拡張機能・新機能をまとめたものが必要であると思える。
ところで、84ページにiptablesが、276ページではIPアドレス制限の説明があげられているため、セキュリティは軽視していない。こうした説明からも、Oracleの書籍にありがちな稚拙なスタンドアロン構成ではなく、ネットワークありきの内容となっている点は評価ができる。