これはジェフリー・アーチャーの新作である。パキスタンで購入した。2011年7月末時点で日本ではまだ発売されていなかった。
話は、ある青年の物語である。貧しい家庭に生まれ、父親を早くに亡くした少年が、母親の努力と周りの教師や大人達の助けで、オックスフォードに進学するまでに至る様を描いている。その間の青年の天賦の才によって知識階級の仲間入りをする場面や、母親の寝る間を惜しんでの学費稼ぎの努力と、教師を初めとする多くの大人の協力は読んでいて快いものがある。一方で、冒頭より、青年の母親が若い時に犯した過ちが常に物語の伏線となって描かれているので、穏やかな日和の後にいつか嵐が来るのではないかと、常に不安を感じながら読むのであった。このあたりの作者の手際はさすがにミリオンセラー作家かだけに飽きさせないものがある。また、貧しい中から這い上がってくる、そういう筋立ても定番ながら受け入れ易い話である。
しかし、話はもちろんのこと、これだけでは終わらない。時あたかも第二次世界大戦の勃発前夜である。イギリスがドイツに宣戦布告をすることを見越して青年はオックスフォードを休学してでも戦線に配属されることを志願している。そういう世界情勢を背景にして青年と許嫁との関係や、その兄である親友との友情など、なかなか興味深く頁をめくる速度が速くなるのだった。
この話は青年がアメリカへ行くことで突然に終わる。あっ、これじゃあ物足りない、と思ったが、この本は第一巻であった。第二巻がこれから発行されるのだという、楽しみである。