前モデルのK5400dnと基本メカニズムを踏襲しています。プリントヘッドの形状、インクカートリッジの形状は全く同じです。黒インクは以前から顔料でした。前モデルのHP88系はカラーが染料でしたが、Pro8000のHP940系インクでは、カラーインクも顔料になっています。HP88系は水に弱く、濡れるとカラーはもちろんのこと、黒もすぐに滲んでしまいました。Pro8000は水に強く、少々濡れたぐらいでは全く滲みはありませんし、こすれにも強いです。
細かな差異はそれなりにあります。まず黒の濃度が薄くなりました。HP88系は黒い文字でもわずかに染料カラーを混ぜることで凝集を早め、高濃度でリッチなブラックを実現していました。HP940系では黒は黒インクだけを噴射するので、プロセスブラック的な質感になり、HP88系のような漆黒にはなりません。HP88系はレーザーに比べてコントラストが強すぎて目が疲れたのに対し、HP940はコントラストが穏やかなので、かえって文字が読みやすいです。動作音は明らかに静かになりました。高速インクジェットの宿命である普通紙での横スジは、やや減少しました(まだ多少はあります)。
欠点としは、まず自動両面印刷です。「レイアウトを維持」をONにすると縦方向に5%ほど圧縮されますし、OFFにすると表面と裏面で印刷位置が大幅に違ってしまいます。ドライバの問題と思いますが、K5400dnでは「レイアウトを維持」をOFFにしても表と裏がズレるということはありませんでした。また濃いグリーンや濃いブルーからのグラデーションがうまく再現されません。濃いグリーンからいきなりハイライトに飛び、明確な段差ができてしまいます。カラー画質を云々するプリンタではないとはいえ、前モデルでは問題なかったところなので、何とかして欲しいところです。
耐水性については明らかに進歩しましたが、それ以外の部分は後退したところもあり、評価としては微妙なものになります。HPはドライバの更新頻度が低いため、すぐには改善は期待できません。本体・インクともコストパフォーマンスが高いのですが、このあたりを受け入れられるかどうかで購入可否が決まるでしょう。