批評家に高く評価されてはいるが、どうにも理解できない音楽というのが存在する。
本作もおそらくそうである。
「このアルバムを初めて聴いて以来、好きで好きでたまらない」という人がいるとしても、
私はそれを信じないだろう。
「とりあえず理解はできないけど、なんとなく洒落た音楽聴いてる」と思う人がいるとしても、
私は首を傾げるだろう。
初めてこのアルバムを聴いてから5年以上になる。
未だに理解しきれない。
カントリーかと思いきやラップ。
ハードロックかと思いきやカントリー調のメロディー。
ハードロックやポップを二転三転するバックトラックに、ラップ。
ノイズミュージックかのようなカントリーポップ。
あらゆるジャンルを音楽をBeckなりのセンスで繋ぎあわせた得体の知れない音の塊。
すべてはサンプリングの妙である。
きっと、あらゆる音楽を聴けば聴くほどこのアルバムは魅力的になっていくはずである。
自分がどれだけ音楽を聴いてきたか、という指標にもなるかもしれない。
このアルバムをお洒落だとか、趣味の良いものだとは思わない。
「Loser」という劣等意識(おそらくはエリート意識の裏返し)でその名を知られた男の野心であろう。
アルバム全体がブラックジョークのようでもある。
邪悪なんじゃないか?
そうかもしれない。
それでこそ聴く価値があろうというものだ。
良さがわからなくてもいい。
普段と違う音楽が聴きたくなったら、手を出してみるべきである。
きっと損はない。