本書は、吹奏楽を指揮したり、指導したりする先生からみて、いかに良い演奏ができるようになるかを効率よく1冊で知ることができる優れ本だと思いました。校務分掌として初めて吹奏楽部を指導される若い先生には必読の書でしょうし、大学生や高校生で指揮者を任された人にも是非読んでほしい内容でしょう。技術的には基本的な事項がほとんどですが、各楽器のメンテナンスの仕方なんて、各楽器の奏者には知っていて当然ですが、全部のパートを知ることも指導者には必須の内容だと思います。
有名なパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の来日公演の舞台裏も興味をもって読みました。フランスの楽団ゆえ、アドルフ・サックスが生んだサクソルンバスを使用しているのを知りました。10ページに奏者と楽器が載っていますが、流石です。サクソルンコントラバスも珍しいですし、ファゴットではなく当然バソンです。
淀川工科高校吹奏楽部の丸谷明夫先生へのインタビューも若い指導者には是非読んでほしい内容です。魅力的な丸谷先生の人柄と指導力によるところが多い訳ですが、先生と部員の「ほう・れん・そう」ツールにその魅力と強みを感じ取りました。
4ページずつ、各楽器の基本的な知識が掲載してありました。手入れ方法や楽器の特性を知るのは大事です。リードの選び方は楽器選びよりも大切な要素でしょう。保管、手入れ、そしてリード作り、これも基本ですから。マウスピースは唇の相性によりますが、浅めや深めなど形状の変化は音色に表れますので、曲によって変えるべきでしょう、予算に余裕があればですが。
小澤俊朗さんの「基礎合奏のテクニック」もためになりました。チューニングの方法は言われる通りです。いかにハーモニー感を持つようにできるかですので。
なおスコアを読む訓練は積んでほしいですね。各パートの楽譜を読めるだけでは音楽の面白さを体感できません。一生音楽と楽しく付き合うために、スコアをじっくりと読むことで作曲家と対峙してください。
若い頃、約8年間吹奏楽に没頭していました。高校生時代は実際に指揮や編曲(2曲演奏会にかけました)をするために、当時発売されたばかりの音楽之友社『吹奏楽講座』の必要な巻を購入して必死に勉強したのを覚えています。楽典の知識、楽器の調性や特性、アンサンブルの技術、バトンテクニック、スコアの見方など、指導者がほとんどいない中、本と実践を通じて慣れていったわけです。
巻末の移調早見表は必要でしょうね。各楽器の調性を知らないと、指揮も出来ませんし、アレンジもできません。当然スコアも読めませんので。