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物語自体は至って簡単でよくある話だが、その随所に著者のいわば英社会批評がちりばめられている。序盤で英国政府が北海油田の重要性に気付くのが遅れたことを悔やむことから始まり、物語の主人公達=英上流社会の主人公達の人物描写や、ウィンブルドン、競馬場、伝統ある大学の式典の様子等!...。但しこれらはいずれも、我々日本人には馴染みの薄い事柄で、それを全て英文で理解するには困難があるので、その時は邦訳の助けがほしい。
しかし著者の、その持ち前の小気味好いストーリー展開と、登場人物の会話の妙を味わうには、やはり原文から目をそらしてはならない。とにかく楽しんでもらいたい。
悪役の間抜けっぷりにニンマリ。
巧妙な作戦が見事に決まったときにニンマリ。
そして何より何より、
ラストのオチにニンマリ。
この物語に出てくる、陰謀をたくらんだ悪者もなんだか人間臭くて、憎みきれない。痛快推理小説なのだが、気持ちが暖かくなってしまうのは、著者が児童文学も書くような、暖かな観察眼を持った方だからだろう。
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