ニック・ヘイワードの若き才能が爆発する傑作1st(1983年作)。
ヘアカット100から地続きでいながら、拙いバンドサウンドからしっかりしたサウンドプロダクションになったことで、この頃のニックのソングライティングの冴えが堪能できます。1曲目「恋のスタート・トゥ・ビギン」からしていきなりニックが凡百のソングライターではないことを証明するポップ魂溢れるわくわくする曲で、例えばトラッシュ・キャン・シナトラズ1stにしてデビューシングル「オブキュリティ・ノックス」なんかに匹敵するキラーチューンです。その後も、ソングライティングの妙を充分に感じ取れるポップスのツボを得た曲が惜しげもなく並び、さすがは80年代ポール・マッカトニーと称されただけはあるなと唸らせられます。
個人的には切ないバラードのM9「雨にフォーエバー」がベストトラック。情感溢れるボーカルの表現力も素晴らしい曲で、全体にアップテンポのアルバムをしっかりと締めています。
ヘアカット100の1stもそうですが、まさに青春の瞬間を奇跡的に封じ込めたような作品です。特にこのアルバムは、そういう初期衝動が、きちんとしたプロダクションでなされているという点で珍しいと思います。