物語もいよいよ佳境に入ってきた。この作品については日本語版のレビューはされ尽くしていると思うので、主に英語版と日本語版の比較について書きたい。
読み比べて少々残念なのは、訳者があまりクラシック音楽に詳しくないらしいことと、この時点までの既刊全てを読んでいるのではないらしいこと。例えば巻末の特別編で、バイエル(ピアノ教室で最初に必ず習うBayerの入門者向け教則本)が「Baieru」になっていたり、花桜先生(9巻で男性であることが分かる)が「she」になっていたりする。日本語版では「ドヴォルザークの田園交響曲」になっているドヴォルザークの交響曲第5番が、英語版p113では「新世界」になっているのもいただけない(「新世界」は9番)。
とはいえ、他の英訳版マンガと比べても、非常に丁寧に作られているのは確か。アメリカ人に理解しにくい部分も無理に意訳したり勝手に内容を変えたりせず、巻末の「translation notes」で詳しく説明する、という方針にも好感が持てる。マンガを通じて日本の文化を理解したい英語圏の人にも、マンガで英語の勉強をしたい日本人にも、そして、難しいことを言わずただ純粋に「のだめ」を楽しみたい人にも、お勧めの1冊なのは間違いない。