本作はWest coastのミュージシャンを中心に豪華な面子が反原発を訴えるためにNYで行ったコンサートのライブ盤です。1つのメッセージの下に多くのアーチストが集まって70年代に行われたコンサートとして、本作は、バングラデシュ・コンサートと並んで、最も優れた、そして長く人々の記憶に残る名作であると評価できるのではないでしょうか。まず、集まったミュージシャン、選ばれた曲、そして演奏が素晴しい。代表的なグループ、アーチストだけでもドゥービー, ジャクソン・ブラウン, CS&N, ジェームス・テイラー, カーリー・サイモン, B.スプリングスティーン&Eストリート・バンド, ライ・クーダーそしてチャカ・カーン。ニコレット・ラーソンも懐かしい。一番の聞き所は、J.ブラウンの壮大な名曲"Before the Deluge"(フィドルはもちろんD.リンドレー)とボス& Eストリート・バンドにJ.ブラウンとR.バトラーがボーカルで加わった"Stay"でしょう。この2曲のためだけでも本作は持ってて損はしません。そして、このコンサートは直接的には反原発をテーマにしていますが、太陽光発電などエネルギー問題全般に意識を向けており、そのことはジョン・ホールが中心になったこれまた名曲・名演の"Power"やCD添付のブックレットに表れています。石油価格高騰・地球温暖化の危機が叫ばれる今日、この四半世紀以上前に行われた歴史的コンサートを再認識するのは意義あることと考えます。といって、本作が1つのイデオロギーに凝り固まった聴きにくい作品に仕上がっているわけではありません。それは、曲目から明らかです。リスナーは、この70年代アメリカン・ロック・シーンの輝かしい瞬間の記録をゆったりとした気分で楽しめるでしょう。