毎度のことながらジャケのコメントに困るバンドですね。
一概にジャケの良さと内容の良さは比例しているものなのですが、
彼らに関しては、そのセンスに納得するのに毎回少し時間がかかってしまいます。
それでも、繰り返し聞いているうちに、やっと自分の中でしっくりくる感触をつかむことが出来ました。
今回もいい作品です。
インナースリーブのプライベート写真から見て取れるように、今回はかなりリラックスした感触。
アルバムの密なトータル性をもってリスナーに訴求していた前2作から変化がみられる。
個人的にはインディーズ時代のアルバムに作風が似てるのかな、と感じました。
(余談だけど、かれらのインディーズ時代のアルバム「a triumph for man」は今の彼らのディスコとも比肩しうるかなりの傑作。是非聞いてみてほしい)
もちろん従来の神秘性とプログレ性はしっかり継承されています。
例えば、微妙に縦ノリを許さない変則ドラムのグルーヴにのって高揚感のあるサビに到達する「Introducing Palace Players 」はいかにもMEWな名曲。
この曲は確かサマソニでもやってたな。
しかし「これだよ、納得」と感じたファンはその次の「Beach」で目の醒める思いをしたのでではないでしょうか。
はじけるようにポップ。今までの彼らにはない開放的なサウンドです。
「Beach」という象徴的なタイトルもなんだか新鮮。
MEWもこんな曲やるのか、と当初は感じましたが、作風はともかく、好きな曲の一つになりました。
この2曲をしっかりと消化できれば、このアルバムの方向性は大体掴めたといっていいでしょう。
これ以降も、ポップソングとして確固たる存在感をはなつ優れた楽曲がズラリと肩をならべています。
今までの作品で培ったサウンドアプローチを生かしつつも、開放的な楽曲が多いのがリラックスした作風と写る要因でしょうか。
「アルバム作品」として主張している点はどこなのか、と聞かれると、正直少し困る部分もある。今までの彼らがそこに焦点をおいていただけに。
従来のファンほど、聞き込みを要する作品かもしれません。
それでも良さを見出すのにさほど時間はかからないでしょう。
4年待った甲斐はあると言い切れます。
サマソニ2009、Jonasがハンドマイクで歌いながらステージに姿を現したとき、自分は正直いって少し笑ってしまった。アイドルかい、アンタは。
サポートのキーボードのヒゲ親父にやたらスポットライトが当たっていたのも面白かった。
先述のジャケもそうですが、やっぱりチョットずれてるところがあるんだな、このバンドは。
しかしそんな彼らも、今や新人とはとても言えない立場となった。
同期の代表的なバンドが殆どアルバム1,2枚で失速していくなか、彼らは生き残り、他に影響を与える存在にまで登りつめたのです。
これからの音楽シーンには、90年代のリバイバル的な側面をもっとバンドが多く出てくるのではないか、と自分は睨んでいます。
そうなった場合、先だってそのアプローチに挑んでいた彼らのサウンドはますますその重要性を高める事でしょう。
影響を受けたバンドがどれほど面白い音をだすのか、面白い青写真が描けそうです。
生真面目でキュートかつカッコよく、少し頭でっかちで憎めない彼らのサウンドは、そのオリジナリティをさらに高めた。
いいバンドです。