これはもはやロックではない。ソウルミュージックだ。前作がストレートなロックアルバムだっただけに、そのあまりの変化についていけない、あるいは変化に気づかない人は多いと思う。がこれは今までに無くU2がブラックミュージックに接近した作品であり、また同時にU2でしかあり得ない音楽でもある。そこがこの作品に対して誤解を生んでいるのだろう。
おそらくリック・ルービンとの仕事を没にしてイーノ・ラノワと組んだのも、特にラノワの持つソウルミュージックのフィーリングがほしかったからではないか。
これまでの作品と比較しておとなしいエッジのギター、異様にローの強いミックス、今までと同じようでどこか違うボノのボーカル。何か中途半端で物足りない。こんな印象をもたれた方は、ブラックミュージック、ソウルを聴くように聴いてみて頂きたい。少なくともロックの要素は今回のアルバムには薄い。個人的には以前ラノワがプロデュースしたネヴィル・ブラザーズのアルバムと同じフィーリングを感じる。
それにしてもmoment of surrenderは珠玉のソウルナンバーだ。そしてストーンズのチャーリー・ワッツのように、すべてはラリーのドラムがあってこそである。それを再確認する作品でもある。ぜひ御一聴を。