Marsha Ambrosiusは2002年にラップ+シンガーの女性デュオとして登場したFloetry(現在は解散)の片割れ。もう一方の元
パートナーであるNatalie Stewartは去年末にThe Floacistとして秀逸なソロアルバム「
Floetic Soul」を発表済。
Marshaは元々Michael Jacksonの遺作となった「
Invincible」からのシングル・カット「Butterflies」の作曲者であり、Floetry時
代もコクのある歌を聴かせてくれた人だけにこのソロ第1作も楽しみにしていたが、期待を裏切らない秀作が届けられた。
本作はほぼ全曲でMarsha自身がペンを執り、共作者にAlicia Keys、Vidal Davis等の豪華陣を揃え、どちらかというと全編
20代後半辺りから上の層を狙った落ち着いたクワイエット・ストーム色強い創りとなっている。
名曲「Butterflies」を創った人であるのである程度のレベルの作品は期待していたものの、良い曲が揃いに揃っている。冒頭
のイントロに続き、神秘的なピアノの音と艶めかしい彼女のボーカルを響かせるスペースをたっぷり用意した官能ミディアム
「With You」に思わずうっとり。元相方のNatalieが囁く様な歌い方であるのに対し、Marshaは自らの音域の広さと歌唱力の
高さを存分に活かし、表現法も多彩だ。ラップを交えなくとも歌一本で十分魅せる自身の声の魅力をMarshaも自覚している
のか、Floetry時代のメロウな部分のみを抽出したかの様な豊潤なメロディーと艶やかな歌を楽しめる創りにしたのは正解だ
ろう。自身の出世作「Butterflies」のセルフカヴァーはFloetry時代のカヴァーアレンジより軽めながら、彼女の心地良い多重
コーラスが病みつきになる優れた出来。尚英オルタナグループPortisheadのカヴァー「Sour Times」のみ若干浮き気味だが、
スクラッチ音や妖しいコーラスを織り交ぜた深みのあるアレンジで、これはこれで楽しめる。
個人的に嬉しかったのが、Lauryn Hill「Lose Myself」のカヴァー。クワイエット・ストーム風のバラードで、上品なピアノや弦楽
器の音を散りばめながら、その上をしなやかに舞うMarshaの声が強く印象に残る素晴らしいカヴァー。これだけ素晴らしいカ
ヴァーを聴いてしまうと、長らく低迷しているLauryn自身の2作目にも淡い期待を寄せてしまう。
R&B好きには特に自信をもってお薦めできる。2011年ブラック・ポップ作品のベスト候補だろう。