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フロスト警部が帰ってきた。待ち焦がれていた読者は数知れないだろう。あのだらしなく、口汚く、行き当たりばったりのスケベ警部。いったいどうしているのかと思っていたら、相も変わらぬお姿で元気にご活躍。猛威をふるうインフルエンザにもかからず、ほとんど寝るのも忘れて夜の町をあっちへうろうろするかと思えば、肌もあらわな若妻のピンとおったった乳首に、今にもしゃぶりつきそう。その間にも老女の連続殺人、新聞配達の娘の失踪事件、少女の自殺、ポルノビデオ、そして小うるさいマレット警視の叱責に追いまくられて、フロストは新米巡査部長のギルモアを引き連れ、事件解決に大わらわ。
でもいつものフロスト警部のこと、一貫した捜査方針などこれっぽっちもない。ただわめいて、走り回って、勘を頼りに強引な捜査を続けるのみ。しかしこいつが犯人だと確信したのもつかの間、強力なアリバイが見つかって、また一からやり直し。だがここでくじけないのがフロストのいいところ。ただし一緒に振り回されるギルモアはたまったものじゃない。奥さんには愛想をつかされ、かぐわしきアフター・シェイブ・ローションは同僚からバカにされ、事件を解決したと思いきや、手柄はほかの刑事のものとなる。上司に恵まれないとひどいことになるという、まさに典型。
ところが妙なことに、てんやわんやの大騒動もいつしか犯人が捕まってめでたく終了。とても普通では考えられない解決を見るのだから、やっぱりフロスト警部は天才なのか。いや、単に運がよかっただけというのが、真実だろう。『クリスマスのフロスト』(原題『Frost at Christmas』)、 『フロスト日和』(原題『A Touch of Frost』)に続いてのこの作品、大いに楽しんだ。まだ未訳の作品が2つある。早く読みたいものだ。それにしても大手柄は訳者の方。罵詈雑言、エッチ満載のセリフを、実に見事に訳している。ぜひご尊顔を拝したい。(小林章夫) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。
出版社/著者からの内容紹介
流感が猛威をふるう町に中傷の手紙がばらまかれ、切り裂き犯も老女を襲う。絶体絶命の人手不足の中、ウィルスにも見放されたフロスト警部に打つ手はあるのか? シリーズ既刊は2点ともミステリ・ベスト10第1位に選ばれた、大好評シリーズの第3弾!
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内容(「BOOK」データベースより)
流感警報発令中。続出する病気欠勤に、ここデントン警察署も壊滅状態。それを見透かしたように、町には中傷の手紙がばらまかれ、連続老女切り裂き犯が闇に躍る。記録破りの死体の山が築かれるなか、流感ウィルスにも見放された名物警部のフロストに、打つ手はあるのか?日勤夜勤なんでもござれ、下品なジョークを心の糧に、フロスト警部はわが道をゆく。大好評シリーズ第三弾。
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出版社からのコメント
フロスト警部シリーズの第1作『クリスマスのフロスト』が創元推理文庫で刊行されたのが1994年の秋。以来、作者のR・D・ウィングフィールドとは、その小説だけを仲立ちにした付き合いが続いています。どういうことかと言いますと、ウィングフィールドという人は、公の場に出てきてしゃべることは勿論、インタビューには応じない、素顔は公開しない、自分のプロフィールも、ディテールをぼかした簡略な紹介文しかおもてに出さない――要するに作品以外はほとんど自分をさらさない、という構えの作家なのです。こんな強烈な個性のミステリを書くのは、いったいどういう人物なのだろう、と穿鑿がましい気持ちにならなかったと言えば嘘になりますが、イギリスはやはり遠く、ため息をついて編集作業に戻ったものでした。
ところが数年前のことです。いっかな刊行される気配のない(自然現象のように言ってはいけませんね。ほんとに申し訳ありませんでした)本書『夜のフロスト』の日本版刊行の予定について、本国の著作権代理業者から問い合わせが入ってしまったのです。実を言えば、その時点では第二作『フロスト日和』の訳稿すら仕上がってはいず、担当編集者としては、来るベきものが来たか……と首をたれるしかありませんでした。解説しておきますと、翻訳権獲得にかかわる契約書には出版期限の項目があり、当時すでにその期限から大幅に遅れていた関係上、先方から前払い金の追加などを求められても仕方のない状況にあったのです。
こういうとき、英米の仕事先に対して、口当たりはいいけれども実現する見込みの薄い“予定”を伝えるのは厳禁です。現状を正直に申告し、さらに、実はいま翻訳者がかくかくしかじかの事情(やむをえないものでした)をかかえており、この予定でしか進められないが、翻訳者が変わるとキャラクター等の印象が違ってしまう危険があるので、それはしたくないのだとも付け加えました。現状以外の部分は、日本側の著作権代理業者の担当氏にわかってもらいたくて、ついつい口にしてしまった、というのが正直なところです。ですから、しばらくして本国から“了解した。そのまま進めてくれ。もし予定が変わることがあったら教えてほしい”とだけ(文字どおり)返事がかえってきたときには、ただただ仰天しました。
けっして愛想のいい返事ではありません。けれども当時、社としてペナルティを科されずにすんだことを喜ぶより前に、襟を正さずにはいられないような、そんな気持ちに駆られたことを憶えています。少ない口数のかげにあったかもしれないものを、ここで具体的な言葉に置き換えようとするのは愚かというものでしょう。ですが、あえて勝手なことを書き記すなら、ウィングフィールドという一職業人の核になっているのはこれだ、とわけもなく感じたのです。そして、あの破天荒なフロスト警部のなかにも、同質のものは確かに存在している、と感じました。
……長らくお待たせしました。ようやくできあがりました。書架に並べていただけると嬉しいです。
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ところが数年前のことです。いっかな刊行される気配のない(自然現象のように言ってはいけませんね。ほんとに申し訳ありませんでした)本書『夜のフロスト』の日本版刊行の予定について、本国の著作権代理業者から問い合わせが入ってしまったのです。実を言えば、その時点では第二作『フロスト日和』の訳稿すら仕上がってはいず、担当編集者としては、来るベきものが来たか……と首をたれるしかありませんでした。解説しておきますと、翻訳権獲得にかかわる契約書には出版期限の項目があり、当時すでにその期限から大幅に遅れていた関係上、先方から前払い金の追加などを求められても仕方のない状況にあったのです。
こういうとき、英米の仕事先に対して、口当たりはいいけれども実現する見込みの薄い“予定”を伝えるのは厳禁です。現状を正直に申告し、さらに、実はいま翻訳者がかくかくしかじかの事情(やむをえないものでした)をかかえており、この予定でしか進められないが、翻訳者が変わるとキャラクター等の印象が違ってしまう危険があるので、それはしたくないのだとも付け加えました。現状以外の部分は、日本側の著作権代理業者の担当氏にわかってもらいたくて、ついつい口にしてしまった、というのが正直なところです。ですから、しばらくして本国から“了解した。そのまま進めてくれ。もし予定が変わることがあったら教えてほしい”とだけ(文字どおり)返事がかえってきたときには、ただただ仰天しました。
けっして愛想のいい返事ではありません。けれども当時、社としてペナルティを科されずにすんだことを喜ぶより前に、襟を正さずにはいられないような、そんな気持ちに駆られたことを憶えています。少ない口数のかげにあったかもしれないものを、ここで具体的な言葉に置き換えようとするのは愚かというものでしょう。ですが、あえて勝手なことを書き記すなら、ウィングフィールドという一職業人の核になっているのはこれだ、とわけもなく感じたのです。そして、あの破天荒なフロスト警部のなかにも、同質のものは確かに存在している、と感じました。
……長らくお待たせしました。ようやくできあがりました。書架に並べていただけると嬉しいです。
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著者について
Sir David John White OBE known by his stage name David Jason was born on the 2nd February 1940 is an English actor, known for his comedy and dramatic roles. He is perhaps most famous for his portrayal of Del Boy in the BBC television situation comedy 'Only Fools and Horses' which made him a household name in the United Kingdom, and for playing Inspector Jack Frost on 'A Touch Of Frost'.
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