カイ・ニールセンは同時代の2人のイラストレーターであるアーサー・ラッカムやエドマンド・デュラックと共に、ギフトブックの黄金期を支えた偉大な画家なのだが、一番報われなかった人でもある。
ギフトブック時代はそこそこ評価されたものの、やはり天才ラッカムやオリエンタル趣向の強いデュラックの影に霞んでしまった。彼らと違い、舞台美術という3次元的な仕事をメインにしていたということも二人とは違う、異色の画家と言えよう。
そのため、画家としては死んでから評価された可哀相な人だ。ほかの二人と違ってデフォルメされた画風は好き嫌いがはっきり分かれたからだろう。
さすが舞台監督。舞台で演じている俳優を描いているような感じがするのは写実性よりもデザインを重視しているから。当時としては前進的過ぎたのかもしれない。
当時はやっていたロシアン・バレエに影響を受けたと言われているが、そのとおりで、すごく線が細い。
日本で発表された『太陽の東・月の西』や、『ロザニー姫と浮気な王子さま』、『おしろいとスカート』は初期作品に位置し、彼の黄金期だと思う。
しかし、後期の作品『アンデルセン童話集』になると、この繊細さは失われ、代わりに水墨画をカラーにしたようなぼんやりとした画風となってしまっている。初期のファンとしては残念なところ。
内容は日本で発売されたものはすべて網羅しており、後期のアンデルセン物語などは日本ではあまりお目にかかれないものも多数。
初期と後期の絵を一緒に見られるのでやっぱりこのシリーズはいいです☆安いし。
絶版になる前にお手にとられることをお勧めします!