安倍吉俊氏による原作のマンガ版は、描き殴ったようなハイパーな描線と脊髄反射的なギャグが魅力の混沌渦を巻く秀作だったが、このTVアニメ版は原作の叙情的な部分に焦点を当てた落ち着いた作風で作られており、これはこれで非常に面白い作品になっている。
特に中盤以降のまゆ子とニアの気持ちのすれ違いと、まゆ子の内面的な成長を描いたエピソードが優れている。マンガ版の第一話では作品世界における宇宙人差別の問題が、外国人差別に対する素朴な嫌悪感に近い感覚をもって描かれているのだが、その時点から最終回までニアに対するまゆ子の家族的な距離感は一定している。アニメ版と同様に終盤の軸になっているまゆ子の揺らぎの描写には、だから喪失感はあっても痛みはあまりない。一方アニメ版ではこうした部分が巧みに構成されており、人間関係のドラマとしてより充実していると言えるだろう。
勿論、SFコメディとしても実に楽しい作品であり、声優陣も愉快な登場人物達をいきいきとえんじている。SIONによるOPテーマを始めとして音楽もまったく秀逸。次回予告のかわりに挿入される『インド豆知識』も最高。
少々残念なのは映像面で、ゲーム大会などの細部に異様なこだわりが見られるとは言え、全体としてはさほど密度が高くない。特に美術とレイアウトがけっこう気が抜けており、舞台設定の魅力を十分に活かせていないように思われる。キャラクターの作画にも厳しい部分が散見される。マンガ版と違って基本的によく整理されているだけに、こうしたチープさもまた魅力とはなかなか言いがたい。
ともあれ、良心的な価格設定が成された今回のDVD-BOXは非常にお買い得。最近のアニメの中では異色作の名がふさわしい本作は、普通の萌えアニメやSFアニメに食傷気味の方に自信を持ってお勧めできる。