個人的に今月号で一番のお勧めは、「書きかえられる不確定性原理」。ニュースになった、ウィーン工科大学の長谷川准教授らが行った実験結果の意義についての解説です。ハイゼンベルクの不確定性原理の式は厳密には正しくなく、2003年に名古屋大学の小澤正直教授が発表した修正式の方が正しいことが証明されたというものです。ロバートソンの不等式との比較もしてあります。
巻頭特集は「宇宙10大法則」です。ケプラーの原理、万有引力の法則、相対性理論、エントロピー増大の法則、ハッブルの法則など10個を選んで美しくてわかりやすいイラストで説明しています。これはそのうち、別冊になるでしょう。しかし、別冊になるとお高くなるので、気になる方は今のうちにこちらを買っておいた方が賢明かもしれません。2011年のノーベル物理学賞を受賞したソール・パルムッター教授のインタビューもあります。
「原発事故からの1年とこれから」は、福島第一原発の事故の後始末が非常に長い年数を必要とする苦難の道のりであることを改めて痛感させてくれます。一方、将棋のソフトが米長元名人にかったというニュースにちなんで、Aiについての特集もあります。将棋ソフトだけでなく、東大受験に合格できるソフトを開発するプロジェクトの計画についての解説もあります。自然言語処理、音声認知、画像理解など様々なAi分野を結集するにはちょうどいい目標なのだとか。
花粉症の時期に備えて、気になるのはアレルギーの特集。免疫の話は慣れていないと分かりにくいのですが、色鮮やかなイラストが理解を助けます。また、歴史の話になりますが、アレクサンドロス大王の東方遠征ルートについての新説も興味深い。実地研究の成果ですね。写真の特集としては、マーズ・エクスプレスによる火星。息を呑みます。さらに、北海道の動物たちの厳冬生活があります。