「イーライと13番目の懺悔」にはまった後、それに比べるとどちらかと言えば地味な曲が多い本作は長らく棚に納まったままの日々が続いた。しかし、この作品の真価を知る日が訪れた。雨の深夜、ヘッドホンをして"You don't love me when I cry"の深い嘆きを聴いた瞬間、ローラの存在を感じた、しかもすぐ傍に。後は静かに歌われる"New York Tendaberry"まで音に浸ったままだった。時に高く時に低く、嘆き、叫び、喜び、囁くフリーフォームの極致というべきボーカルと彼女の弾くピアノが全面に渡って決定的な効果を上げている。「イーライ」での混乱ぶりがまるで嘘かのように。
この作品はいつも集中を要求する。深呼吸して真っ暗な夜にこのCDを聴く、その瞬間音響機器の前でローラと二人きりの小さなコンサートが始まる。史上稀な作品だ。