USインディー界の重鎮デスキャブの通算六枚目、メジャー二枚目のアルバム。3年ぶり。
毎回良いアルバムを作るUSインディのアーティストは多い。彼らは作品ごとに極端に変化したりすることは少なく、
ともすればマンネリに陥りかねないところを絶妙なセンスで防ぎ、良曲を連発する。デスキャブもまた、
そういうタイプのバンドの代表であろう。今作も大変質の高いポップソングがずらりと並ぶ。
今作の特徴としては、前作では控え目だったバンドサウンドに回帰したことだろうか。彼らの作品中では
『Photo Album』のポップさや『Transatlanticism』の雄大さなどに今作のサウンドは近いのかも知れない。
しかしそれらと今作の間の大きな違いは、前作『Plans』の繊細なアレンジがバンドサウンドに盛り込まれ
ながらも、音自体がやや太くなったことだろうか。M2では珍しく太いベース音のループが曲をリードする。
また、曲によって音の奥行きを使い分けることに拘っているようにも思える。
あと、前作ではなりを潜めていた轟音ギターも、今作ではしばしば効果的に登場する。幾らかエモっぽい部分
が復活しているのだ。まあ事はそんなに単純でもないか。
まず、M1,M2と壮大な曲が続く冒頭。とりわけM2はその壮大すぎるイントロに彼らの今作における意気込み
を感じる、スケールの大きい楽曲となっている。
この二曲の神々しい感じからM3で一気にポップになる。妙に歯切れの良いサウンドだが、ギターの音などは
ポストロック通過後といった風な奥行きが感じられて美しい。その後ゆったりとしたサウンドの曲が続く。
この辺りは『Transatlanticism』にも共通する広大な風景が広がる。
そしてM9。これ、デスキャブ全曲中でも、『The Sound Of Settling』にも勝るとも劣らない、完璧な3分ポップである。
可愛らしいギターが勢いを増し、爽やかに疾走する。サビのボーカルの上昇が非常に心地よい。
その後、民族チックなリズムから壮大に展開しながらも何故かブツッと切れるM10と、少ない音でしっとり
と歌われるM11でアルバムは幕を閉じる。
個人的には後半にM2レベルの壮大な曲がもう一曲欲しかった気もするが、それでも十二分に満足できる、流石の
一枚と言える。ここから次はどのように変化するのか、早速だが楽しみでもあるし、少し心配でもある。