アラームが鳴るのは一番敏感に設定しても空間線量が100mR/h(1mSv/h)なのですね。とすると原子力施設で作業する人向けです。管理区域内で放射性物質を使う実験をしていたことがあります。退室時にハンドフットモニターなどを使う場所でしたが、それでも1-2mR/h(10-20μSv/h)程度でした。
ですので、退避区域外で使って実際にアラームが鳴ることはないでしょう。退避勧告がなされている飯舘村でも24時間の積算で1.4mSvつまり単位時間の線量が0.0583mSv/hです。この商品でアラームがなる1mSv/hを大幅に下回ります。
これから原子力発電所やウラン鉱山で働く予定の人が用意するのは構いません。ですが、各人に線量計が貸与され作業の際は業務用のサーベイメータを使用するはずです。わざわざ個人で用意する必要はないと思います。
[追記]
放射線計測の原理が分からないと適切な計測機器を選べないし、正しい方法で計測できません。研究者や理工系の学生向けの定番の教科書は Knoll の Radiation Detection and Measurement(和訳は『放射線計測ハンドブック』)ですが、数学や物理がやや難しいので医療向けの『
放射線計測学』などを図書館等で参照してください。どちらも個人で買うには高すぎます。一般向けの易しい本では『
放射線をはかる』があります。
放射線とは何か、どういう害があるか、ということを一般向けに解説した本に野口邦和さんの『
放射能のはなし』があります。現在品切れですが、増補版が5月31日に出版されるそうです。ネットの情報は正しいものと正しくないものがあります。特にこういう時期は間違った情報が拡散増殖します(やがて正しいものが支配的になるでしょうが)。ネットの情報は分かっている人が忘れたことを部分的に補うには便利ですが、そうでない人の場合正しいかどうかの判断がつきません。専門家が書いた書籍を参照すべきです。
なお、この装置はガイガーカウンタではありません。原理はシンチレータの発光をフォトダイオードで検出するもののようです。この製品がどうかは知りませんが、一般に安価な製品は誤動作が問題となりことがあります。ですが、安全なのに警告を出す場合と危険なのに出さない場合を比べれば前者が安心です。
急に温度が変化すると異常値が出るそうです。原因はフォトダイオードの温度特性かもしれません。逆の特性の回路で補償しますが、温度分布が不均一なら補償は不十分あるいは過剰になります。
他に考えられるのは、身近に放射線を出すものがあることです。ラジウムを使った健康器具などがあります。少量の放射線は体に良いという意見があった時代です。宝石の発色を変化させるために中性子を照射することもあったそうです。中の原子が放射化します。食器などのガラスの発色を調整する(紫外線を当てると光る)ためにウランを添加することも行われました。また、光学ガラスの屈折率や分散特性を変化させるため放射性元素を添加していた時期があります。
写真用レンズについては「放射能レンズ」で検索すると愛好家のサイトが見付かります。健康器具や宝石などの例は野口邦和さんの『放射能事件ファイル』に記載があります。また、Oak Ridge Associated Universities のサイトに "Health Physics Historical Instrumentation Collection" があります。そこの "Radioactive Quack Cures" のページにも放射線を使った色々な疑似医療器具が載っています。日本の製品もありますし、21世紀にも販売されているものもあります。