専門家やステークホルダーが集まってNPO法人会計基準策定委員会を構成し,その策定委員会が作成したのが「NPO法人会計基準」。これはいい会計基準だから使用してほしいと考えるのは理解できるが,一方,この基準以外は認めないとの考え方は傲慢である。(p.7に(NPO法人会計基準を)「最初に採用した年度」であっても「「継続性の変更」には当たりません」との記載があり,これは,NPO法人会計基準以外の会計基準は適切な会計基準とは認めないことを意味している。)
p.45に公益法人会計基準を使用しない理由として「公益法人は非営利法人とはいっても大規模法人が多く,小規模な法人が多いNPO法人に対する会計基準としては適用しにくい部分が多い」と述べられているが,規模を理由にして公益法人会計基準を使用しないのであれば,一定規模以上のNPO法人はNPO法人会計基準を使用してはならないことにしないと論理的におかしいことに気づかないのだろうか?
専門家やステークホルダーが集まってNPO法人会計基準を作成したことから,この基準は内輪に甘いのではないかとの疑念が残る。一例をあげれば,役員等との取引は注記する(p.22)が「役員に対する報酬,賞与及び退職慰労金の支払」等は注記不要(p.27)とされている(役員の近親者(役員等であって役員でないもの)への報酬等は,文理上,開示することになる)。p.165のQ&Aにも注記不要の理由は何も説明されていない。NPO法人は小規模な法人が多いのであれば,役員に対する報酬の金額的重要性が高い可能性があると考えられる。役員報酬は秘匿するのではなく開示した上でステークホルダーの理解を得るべきではないのか?どのような根拠で注記不要とするのかを明確にすべきだろう。