大森望氏の責任編集による日本SF書き下ろしアンソロジー。河出文庫創刊30周年の記念企画ということもあり、とても力が入っていて傑作揃いだ。
その第1巻は、新作10作と昨年の3月に亡くなった伊藤計劃氏の未完の遺作、『屍者の帝国』の全11作。この『屍者の帝国』は早川書房のSFマガジンに掲載されたのを読んだことがあったが、改めて、読み直すと、これはやはり大傑作の予感がする内容。スチームパンクの装いだが、伊藤計劃氏らしく、死というものをメインテーマに置いたもの。これは、誰かが完成させるべき。いや、これは未完のまま、有り得べき小説世界を想像し、楽しむべきものなのか。
その他の10作も、私のお気に入りの、円城塔氏、飛浩隆氏、山本弘氏などが収録され、本当に楽しめるアンソロジーになっている。
特に良かったのは飛浩隆氏の「自生の夢」。語ることにより73人を死に追いやったシリアルキラーとの対話とGoogleを思わせる検索エンジンが支配する世界とで、この時代にしか書けないSFだ。
第2巻もすでに出版され、さらに第3巻ももうすぐ出版されるとのこと。長く続くことを期待したいシリーズだ。