原作未読の時にこのアニメと出会いたちまち惹きこまれ原作を追いつつ毎週楽しみに視聴していた者です。
限られた放送時間の中で原作を大胆に構成し直しながらも二人の少年の関係性の変化をきめ細やかに描く手腕に感動していました。
特に7話やこの巻に収録されている10話など、現在のネズミ(登場人物)とかつて出逢った頃のネズミを重ね合わせるといった
端的に視覚的にみせる演出がとても優れていたと評価しています。
ただ問題の最終話ですが、ストーリーを進めることのみに留意して
これまで丁寧に積み重ねて描かれてきた少年たちの心情が完全にないがしろにされてしまったと言わざるを得ません。
確かに全11話という非常に限られた尺の中であまたあるストーリーの伏線を全て回収して終了することは非常に難しいかと思います。
しかし、最終話では完全に蛇足だと思われる脚本上の改変があると思います。
ラスト近辺の「奇跡」の部分です(ネタバレになるかもしれないので具体的には書きません)。
原作のあさの先生はともすればストーリーの進行上面白おかしく描きがちな生と死を大切に慈しんでこの物語を執筆していたとあとがきで書かれています。
またこの作品の主題も、ともすれば忘れ去られがちな生きる事への切ないまでの希求とその尊さの発見だったのではないでしょうか。
しかしながら例の改変の部分で、大切に扱われてきた「生と死」が非常に薄っぺらなものになってしまったと感じています。
「ハムレット」や「幸福の王子」など今まで登場してきた物語への目配せやその他演出(歌、ネズミの目から涙が零れるシーン)など
さすがだなと思う部分もありましたが、前述した2点
・少年たちの心情がないがしろにされている
・「生と死」の価値を安っぽくしてしまうストーリー上の改変
のためにこの最終話は納得のできるものではなくなってしまいました。
全話を通して声優さんたちの熱演や作画の美しさは本当に素晴らしかったと思います。
それだけにこの最終話は本当に本当に残念です。
4年前に紫苑がなぜ窓を開けたのかという一番重要な伏線も回収されずに終わってしまいました。
この部分と二人の別れの部分だけでも、BDリリース時に何らかの形でフォローして頂きたいと強く願っています。
大好きな作品でした。
最終話だけが非常に悔やまれます。