ロブ・マーシャルの、「シカゴ」以来久しぶりのブロードウェイ・ミュージカルの映画化です。しかも、今度は、なんとフェリーニの「81/2」のミュージカル版との事じゃないですか。よくも、まぁ、大それた事を(笑)。興味津々、対峙しました。で、感想は、私小説的なフェリーニ芸術の集大成と言われた大芸術映画のリメイクと呼ぶには些かおこがましく、飽くまでプロットを拝借して、60年代のイタリア・モードを意識したオシャレでゴージャスな感覚の作品との印象を持ちました。主人公の幻想や被害妄想、幼少期の思い出が具現化、フラッシュ・バックされますが、それが、豪華女優陣のそれぞれの見せ場であるミュージカル・シークエンスに繋がっていくので、芸術家の苦悩、神経症と言う内面的葛藤も、小難しくなく、ムードで見せます。もっとも、ダニエル・ディ=ルイスは素晴らしく達者な名優なので、彼が創作のインスピレーションが湧かず、悶々とする様は見事なものではありましたが。
となれば、今作の見処は、やはり、前述した豪華女優陣競演によるミュージカル・ナンバーの数々と言う事になりましょう。ニコール・キッドマンやマリオン・コティヤールら、既に銀幕上でその美声ぶりを発揮しているスターたちはもちろん、ジュディ・リンチやソフィア・ローレンまでが、貫禄ある(笑)歌いっぷりを披露してくれます。特に印象に残ったナンバーは、ジャック・ドミーのフレンチ・ミュージカルを想起させる哀切ながらも美しい“マイ・ハズバンド・メイクス・ムービーズ”、チャカチャカしたミラノ・コレクションの如きイタリア・モードが全開した“シネマ・イタリアーノ”、そして、いかにもイタリアらしい官能のダイナマイツ“ビー・イタリアン”辺りでしょうか。ケイト・ハドソンの踊りと歌が、意外にも魅力的です。
女優たちの歌声と、新作ながら購入し易い価格なので、ここは★1つオマケしておきましょう。