今や伝説の投手とも言える江夏豊投手の、老練さと躍動力とを併せ持った時代の代表的シーンを、すばらしい編集で見ることができ、大いに感動しました。江夏氏がマウンド上で見せる表情と仕草は「必殺仕事人」ともいうべきものですが、インタビューで見せる表情も実に人間くさく、マウンド上での表情とは、またひと味違い、このドキュメントの価値を高めています。勝者になった側の方がインタビューに応じるのは当然としても、負けた近鉄側の西本監督を始め、真剣な態度で応じた選手の方々には敬意を表したいです。特にスクイズを失敗した石渡選手のかみしめるような言葉と表情は胸を打ちました。野村克也氏の解説も、なるほどと納得させられるばかりです。またインタビューや再現シーンの作成には、かなり手間暇がかかっているなと感じました。作成された方々の労力も大変だったでしょう。試合に関係された方々の協力と、作成側の努力が、このドキュメントの価値を、大いに高めています。もとより山際氏の「江夏の21球」が無ければ、このドキュメントも無かっただろうし、これほどの人間ドラマが1イニングに隠されていたことを知るよしもなかったでしょう。その意味でも、このドキュメントは見る価値が極めて高いと言えます。