この本の凄いところは、先ずこの本を読むと、現代の世界を見る視点が全く変わってしまうところにあると思う。
私たちがこれ程、危険な世界にいるとは気がつかなかった、というのが正直な感想である。
著者のモノの見方に賛同しない人もいると思うが、そういった人達も含めて、深くモノを考える人間は是非、読むべき本だとの印象を強くした。
本の冒頭でいきなり、「私たちは戦場にいる。情報戦争、そして無制限戦争という名の戦場に」というショッキングなテーゼが提示される。
この手の本にありがちな、読者に対する脅し文句かと思いきや、本を読み進むにつれて、その言葉の真実味を実感する事になる。
戦争も時間と共に進化する、という視点は、大変重要であると思う。
この本の中にある、第一次世界大戦、第二次世界大戦、第三次世界大戦の本質の簡単な要約は、20世紀の歴史を極めて短く総括しているともいえる秀逸な歴史観である。
筆者によれば、2001年の9・11以降、第四次世界大戦の時代が始まったという。それは、「無制限戦争」と呼ばれる戦争の形態で闘われる。
「無制限戦争」とは、人間のあらゆる活動領域を戦場とするような戦争の事である。果たして筆者の主張するように9・11以降の時代を「第四次世界大戦=無制限戦争の時代」と断定してよいかどうかは、軍事の専門家から見れば疑問の生ずるところでもあろうが、それは極めて重大な問題定義であり、貴重な視点であると思う。
この本が私に与えたショックの第二の源は、チャイナ・パワーの脅威である。
単に今日のチャイナが経済的に力をつけ、軍拡をしているのみならず、情報操作により、日本国民全体を自由に操ろうとしている。NHK「JAPANデビュー」捏造問題は、その情報操作の氷山のほんの一角に過ぎないという。
確かにNHKや朝日新聞のみならず、最近の日本のマスコミのチャイナ報道を見ていては、チャイナの日本にもたらす本当の脅威の実態が見えてこない事をこの本の指摘で強く感じた。
黄文雄氏や石平氏や宮崎正弘氏の著作をよく読めば、かの国が日本に如何に現実の脅威であるかはよく理解できるが、日本のマスコミは恐ろしいまでの言論統制と自主規制を行ない、チャイナの脅威の実態は、国民に正しく認識されていない。
現在が、「無制限戦争」と言われる国際法を無視した、謂わば「何でもあり」の戦争の時代である事、そしてその無制限戦争をチャイナが日本に向けて仕掛けている事、その二点を認識した上で、世界を見てみると、全く昨日までとは違った世界の状況が見えてくる。
分厚いながらも、一読、再読に値する情報豊富な名著である。