「独眼竜政宗」を始めとする過去の名作大河に負けじと、スタッフが意気込んで
製作したであろうことは十分に伝わってきますので、その点は拍手を送りたいと
思います。ただ、通して見て作品としてのクオリティがそれら過去の名作大河と
同格かというと、残念ながら数段落ちるのではないかと感じました。
一番の壁はやはり予算だったように思います。ラスト2回の川中島は、兵士の
数が少ないのを隠すため、「なるべく下から上へのアングルで撮る」、「武将の
顔のアップ」など、かなり涙ぐましい努力がされていましたが、編集で修正が
可能な遠景以外は隠しきれておらず、見てて何だか寂しくなってしまいました。
また、序盤では夜這いが趣味の侍を斬り殺すなど、ダイナミックな映像やカット
割りが多かったのに、中盤以降すっかり落ち着いてしまったのは、映像表現の
自主規制的なものがあったのではないかと推測しています。生きるか死ぬかの
戦国時代が舞台で、これらの表現が抑えられてしまうというのもおかしな話だと
思うのですが、ものの本によると視聴者からの苦情は無視できないようです。
浪人時代に、山城の模型を作って曲輪がどうのこうのと村娘相手に熱く語って
いたあのキャラクタが、軍師となった後も1年通して続いていたなら…と思うと
残念でなりません。今後もこういった本格的な大河ドラマを望むのであれば、
それを支持する視聴者による後押しも必要になってくるのかも…。
血の出る映像がどうのこうの差別を連想させる表現がどうのこうのとクレーム
ばかりつけてたら、当たり障りのない小粒な作品ばかりになって当たり前です。
予算に都合がつかないのであれば「ホームドラマ大河」にするしかないですが、
都合がつくなら、せめて3年に1度はこういった本格志向の大河が見たいです。
NHK大河ドラマ 風林火山 完全版 第壱集