このドラマには初回放映時に出会い、再放送を観てVTRを探し遂にはDVDに
辿り着きました。作品の中で初めて金城哲夫さんや上原正三さん、満田監督の
人となりを具体的なイメージとして持つ事が出来、その後ウルトラの各作品の
スタッフに光を当てるDVD等も発売されてご本人達の実際のお姿を確認する
事が出来ていくわけですが、印象深かったのはこのドラマを通じてウルトラセブン
という作品が創られた当時の世相や時代背景を垣間見る事が出来た点です。
当時(昭和42年)人類は未だ月面に到達せず大阪万博も開催されず、沖縄も
アメリカの支配下にありました。若き日の金城さんや上原さんがQやマンで培
われたロマンの世界から現実に引き戻された時期、日本の特撮ヒーローとして
初めて自分の信じる正義と現実とのギャップに苦しむ存在としてセブンは描か
れていきますがこれは米軍基地が大きなウエイトを占める沖縄の人間としての
二人の脚本家とそれを実感出来ない本土の人間達のベトナム戦争に対する
現実感の温度差を脱走米兵という存在(宇宙人?)を通して浮き彫りにする形と
なりました。
もちろんこの部分は全くのフィクションですが脚本の市川さんがこの両者の対比を
見せる事で特に当時の金城さんが直面していた沖縄人と日本人の間での苦悩を
よく理解する事が出来ました。奇しくもアンヌが言った「琉球人だろうとヤマトンチュー
(本土の人)だろうと金城さんは金城さんに変わりない」という台詞がその後一人の
脚本家にどんな決意をさせたのか。
このドラマはヒロインアンヌを中心とした青春群像劇として提示されましたが
そこには脚本家市川森一さんが時間を越えて旧友に送った手向けの意味が
込められているのだろうと感じました。セブンに託されたメッセージを受け取れる
単体のドラマとしても大いに楽しめるお勧めの快作です。