コンピューター屋のハシクレとして、91年当時の本放送をワクワクしながら見たことをよく覚えている。あんな企業機密をよくぞ公開してくれたという驚きもあったし、歴史や伝説の中に埋没しかかっていたビッグネームが続々登場して貴重なエピソードを披露してくれた感動もあった。
だから、アーカイブとして後世に残し伝える意義や価値は十二分にあると確信しつつも、ノウハウ流出を恐れる企業サイドなどから待ったがかかるかもなぁ、と半ば諦めていた。それだけに、DVDソフトとして蘇ったことには、多くの関係者の努力や決断があったものと素直に感謝したい。
全6巻、エピソードとしてはいちおう各巻毎に独立してはいるが、やはり全巻を順番に通しで視聴するのがいちばんだ。
相田ディレクター(お若い!(笑))の軽妙な講談調の語りも、三宅アナ(ますますお若い!(爆))の戸惑いやうろたえぶり(失礼!)も、ともすれば小難しくなる典型的理系のテーマをなんとかお茶の間にわかりやすく届けようという非常な努力の賜物である。当世の学生や新入社員向けの教材としても意外にお役立ちかもしれない。
それにしても、放送当時はまだWindowsもMacも、ケータイすらもまともに登場していない。だから“マイコン”なんて死語がかえって新鮮だ。ICやLSIの基本概念や構造はそんなに変わっていないはずだが、“ムカデ石”1個の容量がこの当時はまだようやくメガバイトになったばかり。現代の数ギガバイトなんて話になったら、“相田講釈”はどう変わるものやら。
いやいやそれよりも、無我夢中の興奮と情熱に溢れた開発研究競争が過去のものとなってしまった現代の方がむしろ、この種の番組の制作は困難だろう。あのワクワク感をリアルに味わうことなど、もはや空想物語なのかもしれない。