先物取引の発祥の地はシカゴとされているが,実はそれより120年も前に,大阪・堂島の米会所で始まっていた,という事実から物語りはスタートする。
シカゴ・マーカンタイル取引所で世界に先駆けて金融先物市場を開拓したレオ・メラメッド,彼の市場開設の原動力となったノーベル賞学者ミルトン・フリードマン,金融工学の核であるポートフォリオ理論(分散投資論)でノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ,マーコビッツの理論を実践的なものにしたウイリアム・シャープ,シカゴ大学でマートン・ミラー教授の教え子であった2人の学徒,マイロン・ショールズとビクター・ニーダーホッファーは,ショールズがノーベル賞を受け,ニーダーホッファーは巨額損失を出すが,やがてショールズも巨額損失を出す…。そのショールズとともにオプション理論を完成させたフィッシャー・ブラック,ロバート・マートン,そしてマートンを助手としてMITに招いたノーベル賞学者のポール・サミュエルソン。これだけ多くのノーベル賞学者がシカゴ大学やMITに密集していることに驚かされる。
日本人では伊藤清が,「金融工学の旗手たち」の尊敬を集める対象として登場する。彼が発見した「伊藤の定理」が金融工学を確立していった米国の数学者たちが組み立てていった数式に不可欠だったからだ…。
金融にまったく無知な取材人がどのようにそれを学び,番組を構成したか。それを追体験することで金融の入門書にもなる。また,放送番組やドキュメントを作成するクリエーターにもお薦めだ。 (ブックレビュー社)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
|
しかし、この本を読めばそういう誤解も
少しは解けるのではないだろうか?
この本は金融工学を賞賛した本ではない。
むしろ、金融工学を駆使した人の栄光と挫折が描かれ、
その限界を詳細に示している。
しかし、金融工学がもたらすことを過大評価していないし、
また、金融工学が全く役に立たない、
あるいは魔物である、みたいな事実無根のイメージ論も書いていない。
ただ、ありのまま金融工学を描き、
それがゆえに、LTCM等の破綻が描かれながらも
読者は、金融工学についての正しい知識を深め、
未知から来る根拠の無い恐怖心はなくなるのではないだろうか。
そういう本は実は少ない。
わけが分からないことに関して、
その内情をじっくり知り、
どういう可能性、パワーを持っているのか
(事実、LTCMは空前の利益を当初計上していた。)
そして同時に、どのような限界があるのか
(事実、LTCMは吹っ飛んでしまった。)
それを正しく学べる点で、
この本はすばらしい。
ぜひ読むべきだ。
ちなみに本書のNHK取材陣は全員が金融工学の素人で、彼ら自身必死で学びながらこの番組が出来たという。そういう彼らだからこそ、これだけ分かりやすい本が出来上がったのだろう。また本書は、金融関係者は言うまでもなくメーカーやサービス業に従事されている方、家庭の主婦、学生などの方達が現代社会を金融(工学)という切り口で見、最先端の金融ビジネスを身近に感じることができる最適の本だと思う。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|