ここ数年で「うつ病」をテーマにしたドラマや健康番組がかなりの数、放送されるようになり、ひと昔前に比べたら「うつ病」に関する偏見はだいぶ少なくなったようにみえます。しかし・・・
この本は、うつ病の治療最前線を取材し、かなりバランス良くまとめた本です。日本の現状はどこが問題なのか、それをどう変えていくのが望ましいのか、患者の立場からはどんなスタンスで臨めばいいのか。ただ現状を告発するだけではなく、問題に対する「見立て」や「処方箋」についても、ある程度触れようとする姿勢にとても好感がもてました。例えば、第2章『クリニック乱立の闇〜なぜ診断がバラバラなのか?』で取りあげられている「医師選びの注意点5箇条」や第4章『心理療法の壁〜医療に心のケアが定着しない理由』にまとめられた内容などは、これまでマスコミで言及されることがほとんどなかった側面だと思います。
第5章『うつからの生還〜体験者たちが語る回復のプロセス』は、製薬会社が作成する患者さん用パンフレットなどに載っている物語よりも、はるかに実態に即していて示唆に富む内容だと思います。どの方も相当な長期戦になっていることに驚く読者も多いでしょうが。少し追加するならば「『うつ病』になったら、こんなに長く患うのか?!」と驚き慌てるのではなく「このように長期に渡っても回復する病気なんだなぁ」と希望を持ってほしいし、「『うつ病』急性期の療養は、心理的にも身体的にもきちんと休息をとること」という基本はしっかり押さえたうえで、読んでほしいと思います。